在宅介護 認知星人じーじ 介護実践録 ~一日一笑~

福祉、介護、ほんわか、癒し、笑い、気付き、知識、本、感想等々を更新していきます!できるだけ、おもしろく、読みやすく(*^-^*)

第20幕 在宅介護 コラム ~認知星人じーじ~

わが家のじーじは、アルツハイマー星に住む認知星人。地球人の時はいたって普通の91歳。認知星人のスイッチが入ると、認知星の怒りん坊星人に変身する。

 

じーじを日中一人にしておく訳には行かないので、月曜日から金曜日はデイサービスを利用している。私が夜遅くなるときにはヘルパーさんに夕飯をお願いしたり、たまに息抜きがしたい時にはショートステイを利用するなど介護保険をフル活用している。

 

が!一番困るのが、お通夜などの突発事項が起きた時。今回は娘も仕事を休む訳もいかず、たまたま日曜日だったので都内に住む弟に急遽、じーじのお世話係を任命したのだが…事件は起こった!

 

その日、弟は以前からじーじに依頼されていた戸籍謄本(なぜか、弟の)を持ってきてくれました。

 

しか~し!そろそろ出かけようと支度をしていると、なにやらじーじが戦闘態勢!!戸籍謄本を机にたたきつけ「これじゃない」と怒鳴ってる。

 

まあ、よくあることだからと聞こえないふりをしていたが、「満鉄のことを調べに、満州に行ってこい」とか「俺は戸籍がないから山口の土地が売れない」とか、認知星人のスイッチが入ってしまっているので、意味不明なこと言っている。そもそも、じーじの戸籍は、さいたま市にあるし山口に土地は所有してないはずだが…

 

弟は私と違って、めったなことじゃ怒らない。だいたい、怒ったことは見たことない。根気よく、じーじの話を聞く弟…「そっか、そっか」と話を聞いてくれる弟に、じーじは「俺は自立するんだから、お前らの世話にはならん。帰れ」

 

自立?帰れ?何が気に入らないのか、猛攻撃!

 

そ!そしてついに弟がキレた!

 

「姉貴、悪い、本当にごめん。俺は今日帰る。このままだと大声出しそうだから…」と、ぎゃ~~~!弟、逃亡!

 

中学時代の大恩師のお通夜、何があっても参列したいが、急なことで、ヘルパーさんも頼めず、緊急ショートも無理だった。

こうなったら放置だ!裏のおばちゃんに事情を説明し、じーじを一人残して外出。私より一足早く戻った娘によると

 

ロダンの彫刻みたいに固まってた」って!

じーじは無事5時間半、お留守番ができました。めでたし、めでたし。

 

第19幕 在宅介護 コラム ~認知星人じーじ~

わが家のじーじは、アルツハイマー星に住む認知星人。地球人の時はいたって普通の91歳。認知星人のスイッチが入ると、認知星人に変身し、私たちには思いもつかないような行動をする。

 

 じーじ「おい、原稿用紙を買ってきてくれ」

 

私「いいよ、でも何に使うの?」

 

じーじ「GHQのことと、マッカーサーと帝国ホテルでご飯を一緒にたべたことを執筆してくれと頼まれたからだ!」

 

へ!執筆?マッカーサーと帝国ホテルでご飯を食べただとぉ???「本当に?」などと聞いてみたらすぐに、怒りん坊星人に変身するだろうから、ここはひとまず、原稿用紙買いに行くことに。

 

 原稿用紙を買ってきてあげたら、即!執筆を開始。誰に頼まれたの?と聞いたところ

 

じーじ「NHKだ!締切は〇月〇日だからな、急がなくては」

だそうだ・・・すっげ~締切日まで決まってる。

 

しかし、NHKとはこりゃすごい。どこからNHKが出てきたのかと思ったら、数年前にじーじが取り寄せた、NHKの通信講座の自分史の案内DMがじーじの机に置いてあった。どうやらNHKの通信講座→NHKから執筆を依頼された。ということになったらしい。

 

そこから数日、ご飯を食べている時以外は、執筆活動に専念。夜な夜なカリカカリカリ鉛筆を走らせるじーじ。夜遅くまで執筆活動をしているものだから、デイサービスでは、ほぼ、居眠りの毎日らしく、スタッフさんが「最近昼夜逆転されているようですが」と心配してくださるほど。

 

「あんまり根を詰めると、疲れるよ」と優しい言葉をかけると「○月〇日の締切に間に合わないから」と聞く耳を持たないので、放置することに。

 

 数週間後、やっと書きあがった原稿を孫に渡し「ワープロ(パソコンのこと)で清書してくれ」とじーじ。今まで私にも読ませてくれなかったのでどんな内容か楽しみにしていたところ。清書した原稿を受け取ったじーじは「だめだ、これでは検閲に引っかかって墨で黒く塗りつぶされる箇所が多すぎる…」と一言。

 

また、その日から執筆活動をはじめるのであった。どうやら、じーじ曰く、執筆した原稿は本になり、出版した暁には、NHKへのテレビ出演も決まっているらしい。今晩も、カリカカリカリ、じーじの鉛筆の音が響くわが家なのである。

 

第18幕 在宅介護 コラム ~認知星人じーじ~

わが家のじーじは、アルツハイマー星に住む認知星人。地球人の時はいたって普通の91歳。認知星人のスイッチが入ると、認知星人に変身し、私に数々の難題を突き付ける。そんな時、私は地球防衛軍に変身し様々な問題を解決してきたが、今回は未解決のままなのである。

 

 じーじは月曜日から土曜日、デイサービスに出勤(わが家では出勤と言っている)しているのだが、最近土曜日のデイサービスから帰ってくるや否や、般若のような表情で怒っていることが多くなった。

 

じーじ「オレは今度いつ、あそこに行くんだ!!いいか、あそこのデイは、水道から氷水が出るんだ。おまけに、部屋の中は、満州より寒いんだ。このままでは、凍え死んでしまうぞ。そしてな、行くとすぐ荷物を取り上げられて、帰るまで返してくれないんだ。あそこは、シベリアの収容所だ!!」

 

満州にいたことは事実だけど、シベリア収容所に入ったなんて聞いてないけどなあ、なんて事実関係を確認している場合じゃないほど、怒っている。

 

デイサービスでの様子はどうなのか、ケアマネやスタッフに確認するも、さすがじーじは外面良夫君(外面がいい)なので、思い当たることはないとの回答。翌週、デイから帰ってくるや否や、

 

じーじ「俺はもうデイには行かないから、そこんとこヨロシク!」

「そこんとこヨロシク!って、YAZAWAかいっ」

 

なんて笑っている場合じゃない。なんとしても、土曜日にデイサービスに行ってもらわないと、私はおちおち仕事をしていられない状況になっちゃう。そこで、まずは、落ち着いてもらうために、じーじの安定剤であるビールを献上し、よくよく話を聞いてみたところ。

 

じーじ「あの、デイは、Pという、大阪が本社の会社だっていうのは本当か?」

 

私「そうだよ」

 

じーじ「やっぱりそうか、あそこは昔から会社の体制に問題があるんだ。俺が若い頃、いろいろあって、あのPにはどれだけ嫌がらせをされたか知っているか。

 

俺が昔Tという会社の仕事をしていることをどこかで知ったんだな、だから、水道から氷水がでるんだ」

 

 ひえ~、じーじが行きたくない理由は、運営会社が大嫌いなP社だったからか!結局、それ以降じーじは土曜日にはデイサービスに行かなくなったのである。

 

第17幕 在宅介護 コラム ~認知星人じーじ~

わが家のじーじは、アルツハイマー星に住む認知星人。地球人の時はいたって普通の91歳。認知星人のスイッチが入ると、認知星人に変身する。今回は、認知星人が言い放った爆笑シリーズをご紹介!

 

【海苔とふりかけ】

 

じーじ「おい、ここにあった海苔とふりかけどうした?」

 

私「海苔?ふりかけ?」

 

じーじ「ここにおいてあった、旅館の朝飯の時によく出るビニールに入っている海苔と、わかめのふりかけだ」

 

私「・・・・・・」

 

じーじ:「さっこ(女房)に持って行こうと思って置いておいたのに、ないじゃないか」と、すごい勢いでご立腹。

 

私「いつおいてあったの?」

 

じーじ「1年前だ」

 

・・・・1年前かい!!!!

1年前に置いてあったって言われてもなあ~と思いつつ、女房(特別養護老人ホームに入居中)を思うじーじのために、海苔とふりかけを買いに行ったのであった。

 

【デイサービスの缶コーヒーは1本4万円】

 

私「今日は、寒いからセーター着る?」

 

じーじ「ヒーターなんか着られるわけがないじゃないか、何を言っているんだ、お前は

変なことばかり言うな」とまたまたご立腹。

 

じーじ「それより、8万円くれ、自動販売機で缶コーヒー2本買うから」

 

私「へ?」デイサービスの缶コーヒーは1本4万円するらしい(笑)

 

【俺宛ての荷物じゃない】

じーじを一人にして、ほんの数分買い物にいった間の事件!

 

「この住所は黒川さんですよね~」ってクロネコヤマトと佐川急便から立て続けに電話が入った。

 

「はい!そうですよ」と答えると

 

「今、荷物をお届けに行ったんですが、お出になられたおじいさんが『違います』と言って受け取ってくれなかったもので」

 

急いで帰ってじーじに理由を聞いてみると

 

じーじ「俺宛ての荷物じゃない!」

 

確かに!正しい!(笑)

 

島崎藤村

デイサービスから16時に帰ってきたじーじは、すぐにお昼寝。それも爆睡状態。数時間後、ごそごそ音がするから見にいくと、デイサービスに行くカバンを取り出し、背広を着る準備をしているではないか。「今は夜だからね。デイは明日行こうね」と言うと

 

「まだ、夜明け前だ」島崎藤村か~~~~!

 

 じーじと私は、毎日コントのような会話を繰り返しているのであった。今日も楽しく認知症介護実践中!

第16幕 在宅介護 コラム ~認知星人じーじ~

わが家のじーじは、アルツハイマー星に住む認知星人。昭和3年生まれの満州育ち。認知星人のスイッチが入ると、一つの事に固執する。今回の固執は「鱒寿し」。

 

 几帳面なじーじは毎日日記をつけている。といっても、何時何分「大」、何時何分「小」とトイレに行った時間が記入してあるだけだが(笑)。

 

そして何故か毎朝、新聞をホチキスで止めて、日付を赤で囲むのが日課。ここ数週間、日記帳にも新聞にも「鱒寿し」の文字。

 

私「鱒寿し、食べたいの?買ってこようか?」

 

じーじ「いや、俺が食べるんじゃない」

 

よくよく話を聞いてみると、どうやら、誰かが送ってくれることになっているらしいが・・・。

 

次の日、私宛の宅急便を見て

 

じーじ「鱒寿しが来たな!満鉄に送ってくれ!」

 

私:「これは、鱒寿しじゃないよ」

 

じーじ「明日、届くから、満鉄に送ってくれ」

 

私の心の声「ま!満鉄?」

 

何で満鉄?なんて聞こうものなら、認知星の怒りん坊星人に変身してしまうので、ここはひとまず「わかったよ!」と返事をしたものの、本当に鱒寿しが届いたらどうしょう・・・そこで思い切って聞いてみた。

 

私「鱒寿しさあ、満鉄の誰宛てに送るの?」

 

じーじ「誰宛て?そんなもん、差出人の俺の名前を見れば、しかるべき人に届くように手配してあるから、そんな細かいことを心配するな。それより、鱒寿しがこないことの方が問題だ。約束を破ると、国際問題に発展するからな」

 

な!なんと、鱒寿しを送らないと国際問題に発展するらしい、そりゃ~大ごとだ。

それから毎日、普段まったく気にしない(というか、耳が遠いので聞こえていない)玄関のチャイムの音に異常に反応し、「鱒寿しか、満鉄に送れ」を連発。鱒寿しでないことが解ると、「早く送らないと、本当に大変なことが起るぞ」とご機嫌ナナメになる始末。

 

そして数日後、ついに鱒寿しがわが家に届いてしまった。さあ、どうやって満鉄に送ったことにするか思い悩むが…

 

私「鱒寿しきたよ」

 

じーじ:「きたか!食うぞ!」食べる気満々。

 

…満鉄に送るんじゃなかったんかい!

 

【プロフィール入るかな? 訂正をお願いします。埼玉県内の福祉事業所勤務になっていますが、勤務してません(笑)】

第15幕 在宅介護 コラム ~認知星人じーじ~

わが家のじーじは、アルツハイマー星に住む認知星人。地球人の時はいたって普通の91歳。認知星人のスイッチが入ると、認知星人に変身する。今回は、被害妄想星人。

 ある日、テレビを見ながらウトウトとしていたら、なにやらじーじの声が聞こえる。家中を探してもじーじの姿を見えないが、声は聞こえる。玄関を見るとなんとじーじの靴がない!声の行方を捜すと裏のおばちゃんの家から聞こえるではないか。よくよく耳を澄ましてみると「れーこにいじめられている~、れーこにいじめられている~」とじーじの声。

 

ま!待ってよ。いじめてないし、人様の家にまで行って何を言っているのよと焦る私。

 

どうやら、昼食時に「ビールが飲みたいと」言ったじーじに、「夜まで待っててね」といった一言が気に入らなかったらしい。じーじの頭の中では、ビールが飲みたい+夜までお預け=れーこがいじめる。という方程式が出来上がったようだ。

 

しかし、今、じーじを呼び戻しに行くと、じーじのプライドを傷つけることにもなるので、2階の窓からおばちゃんに気が付くように手を振り、誤りのポーズを繰り返すこと数分。私に気づいたおばちゃんはOKマークで答えてくれた。

 

数十分後、じーじは何事もなかったような顔で戻ってきたあと、しばらくするとソファーに座って高いびき。その隙に私はおばちゃんの家に行き、お礼&お詫びに。やっぱり、「れーこにいじめられている」の原因は、ビールを飲ませてくれないだった。トホホ!

 

わが家は、袋小路の突き当りにあるため、家を出る時も、帰ってくる時も、この家の前を必ず通化する。お天気の良い日には、お庭にいることが多いこの住民さん。じーじや娘の出入り(外出・帰宅の様子)もよく見ていてくれているので、私は密かに愛情をこめて「関所のおばちゃん」と呼んでいる。

 

数年間、脳梗塞を起こし、畑で倒れていたじーじを発見し、救急車を呼んで下さった命の恩人でもある。認知症になってからは、何度か無断外出を試みるじーじを発見し、通報してくれるなど、それはそれはわが家にとって素晴らしい功績の持ち主なのである。

「いつでも見張っててあげるから、安心してな」と言ってくれる「関所のおばちゃん」ありがとう!

第14幕 在宅介護 コラム ~認知星人じーじ~

わが家のじーじは、アルツハイマー星に住む認知星人。地球人の時はいたって普通の91歳。認知星人のスイッチが入ると、認知星の怒りん坊星人に変身する。

 

それは、じーじの弟からの電話で始まった。最初は穏やかに話していたものの、途中から雲行きが怪しくなった。

 

じーじ「あなたの言っていることはおかしいですよ。もう一度よく思いだされたらいかがですか?」と、どんどん敬語になってきた。じーじは、怒りはじめると口調が敬語になる。(余談だが、私も頭にくると、敬語になるから血は争えないなぁと思う)。

 

しだいに、「あなた」が「あーた」になり、ついには「きさま」に、もう完全にケンカモードに突入。

 

じーじは耳が遠いので、声もデカい。ご近所を驚かせてもいけないので、窓を閉め。隣の部屋で、聞き耳を立てて傍観者となってみた。

 

どうやら、40年前にじーじの弟が土地を購入した時の話をしているらしい。さらに耳を澄ましてよく聞いていると、なんと!その際に、隣の家の人と一寸もめた件を、今!まさに起きていることのように話をしているではないか。じーじの声はますます大きくなり、どんどん、ヒートアップ。

 

じーじ「申し訳ないが、私の言っていることは何ひとつ間違っていない、そんな大切なことも忘れてしまったのかぁ~、兄である私を侮辱するのかぁ~」

 

ついに

 

じーじ「あーた(あなたと言っているらしい)とは裁判で決着をつけよう、次に会うのは、裁判所だな」と言って電話を切ったじーじ。

 

明日のスポーツ新聞の見出しは「認知星人VS軽度認知障害(じーじの弟)。40年前の話でバトル!」だな、なんて面白がっている場合じゃない。まだ、怒りが治まらないじーじは、電話機の前で身体をプルプルさせて「裁判だ」とつぶやいている。このままだと、確実に次の攻撃先は私になる!と思い、じーじの安定剤であるビールに、大好物の冷奴を献上。

 

「湿気が多い日は、冷奴がうまい!」と言いながら、ニコニコしながら食べているのであった。めでたし、めでたし。

 

【軽度認知障害MCI】認知症の一歩手前と言われる状態。物忘れなどの記憶障害があるが症状はまだ軽く、認知症ではないため自立した生活ができる。