在宅介護 認知星人じーじ 介護実践録 ~一日一笑~

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第14幕 在宅介護 コラム ~認知星人じーじ~

わが家のじーじは、アルツハイマー星に住む認知星人。地球人の時はいたって普通の91歳。認知星人のスイッチが入ると、認知星の怒りん坊星人に変身する。

 

それは、じーじの弟からの電話で始まった。最初は穏やかに話していたものの、途中から雲行きが怪しくなった。

 

じーじ「あなたの言っていることはおかしいですよ。もう一度よく思いだされたらいかがですか?」と、どんどん敬語になってきた。じーじは、怒りはじめると口調が敬語になる。(余談だが、私も頭にくると、敬語になるから血は争えないなぁと思う)。

 

しだいに、「あなた」が「あーた」になり、ついには「きさま」に、もう完全にケンカモードに突入。

 

じーじは耳が遠いので、声もデカい。ご近所を驚かせてもいけないので、窓を閉め。隣の部屋で、聞き耳を立てて傍観者となってみた。

 

どうやら、40年前にじーじの弟が土地を購入した時の話をしているらしい。さらに耳を澄ましてよく聞いていると、なんと!その際に、隣の家の人と一寸もめた件を、今!まさに起きていることのように話をしているではないか。じーじの声はますます大きくなり、どんどん、ヒートアップ。

 

じーじ「申し訳ないが、私の言っていることは何ひとつ間違っていない、そんな大切なことも忘れてしまったのかぁ~、兄である私を侮辱するのかぁ~」

 

ついに

 

じーじ「あーた(あなたと言っているらしい)とは裁判で決着をつけよう、次に会うのは、裁判所だな」と言って電話を切ったじーじ。

 

明日のスポーツ新聞の見出しは「認知星人VS軽度認知障害(じーじの弟)。40年前の話でバトル!」だな、なんて面白がっている場合じゃない。まだ、怒りが治まらないじーじは、電話機の前で身体をプルプルさせて「裁判だ」とつぶやいている。このままだと、確実に次の攻撃先は私になる!と思い、じーじの安定剤であるビールに、大好物の冷奴を献上。

 

「湿気が多い日は、冷奴がうまい!」と言いながら、ニコニコしながら食べているのであった。めでたし、めでたし。

 

【軽度認知障害MCI】認知症の一歩手前と言われる状態。物忘れなどの記憶障害があるが症状はまだ軽く、認知症ではないため自立した生活ができる。