第6幕 在宅介護 コラム ~認知星人じーじ~
わが家のじーじ(父)は、アルツハイマー星に住む認知星人。
最近のじーじは、日付が解らなくなることが多く、
毎朝「今日は何日で、何曜日で、俺はどこのデイに行くんだ?」と聞く。
じーじは月曜日から土曜日の間、曜日を分けて3つのデイサービスを
利用しているので、混乱してもしかたがないが、ほぼ毎朝何回も聞かれる
とついイラッとしてしまう。
そこで、今日は〇月〇日(〇)、今日のデイサービスはSです。
とホワイトボードに書いて、目立つところに下げてみた。
しばらくはこの作戦が成功し、「今日俺はどこのデイに行くんだ?」と
聞く回数が減り安心していたが!
「この日付は間違っている」とじーじ。
新聞を差し出して日付を見せたり、カレンダーを指さしたりしても
まったく聞き入れないどころか「お前は間違っている」と言い出す始末。
そこで、作戦その2。日付をかいたホワイトボードをありとあらゆるとこに
置いてみた!・・・が失敗。どうしたものかと家中のカレンダーを見ながら
考えていたところ、じーじが「お前が間違っている」の原因を発見!なんと、
寝室にあるカレンダーは1ヶ月先だった。
そこで、「じーじ、寝室のカレンダー1ヶ月先だよ」と伝えると、
おもむろにマジックを取り出し、なんと9月に大きく×をつけ、
8月と書き替え一言「これで正しい、どこのデイに行けばいいか解る」。
素早い行動にあっけにとられる私を横目に、寝室を後にするじーじ。
どうしたものかと考えていたその時。
…ひらめいた!「認知星人は認知星のカレンダーで動いている」。
そう思ったら腹も立たなくなったので、じーじに何故、毎朝日付を
確認するのか聞いてみたところ「今日は風呂に入る日かどうかを知りたかった」
とのこと、お風呂に入るのは火・木・金で、Sというデイサービス。
じーじが知りたかったのは、今日お風呂に入れるか入れないかだったらしく、
日付はおまけみたいなものだったようだ。
今日は、お風呂の日、三波春夫の娘だと信じ込んでいる南という名前の
職員さんに、「三波春夫でございます~」って言ってご出勤。
今日も楽しく認知症介護実践中!
黒川 玲子