第3幕 在宅介護 コラム ~認知星人じーじ~
検査当日。脳梗塞の検査だとばかり思っているじーじは、朝の6時だというのに、
もう背広に着替えて準備万端。「まだ行かないのかあ」を30分ごとに連発。
病院についたじーじは「お前も仕事があるのに、付き合わせて悪いなあ」
といいながら、新聞を読み順番を待っています。私は、「あ~だましちゃったなあ」
とちょっと心が痛みます。MRI検査のあと、長谷川式の検査が始まりました。
心理士「今日は何月何日ですか?」
じーじ「2月14日」
私の心の声「おいおい、それは自分の誕生日だよ・・・」
心理士「ここは何階ですか?」
じーじ「3階」
私の心の声「おいおい、1階だよ・・・」
心理士「100から7を引いて、その答えからまた7を引いて、その答えからまた7を引いて下さい」
じーじ「93、86、79」
私の心の声「は!早い!・・私なんか、繰り下がりの時点で計算することを
諦めたのに」
こうして、テストは続きましたが、結局、正しく答えられたのは、
引き算と野菜の名前ぐらい。なのに本人は「なんであんな簡単な質問をするんだ!」
と少々ご立腹ぎみ。
MRIの画像には、スカスカになったじーじの脳がくっきり(本人は見ていません)。
診断は、やっぱりアルツハイマー型認知症でした。91歳という年齢を考え、
当面薬は服用しないことにしました。
帰りの車のなかで、
じーじ「そもそも俺は、なんのために日赤(病院)に行ったんだ?」
私の心の声「日赤じゃないし~~~」
じーじ「あ!そうだ。血栓もなかったことだし、寿司が食いたいから、
寿司を買って帰ろう」
母は7年前にレビー小体型認知症を発症し、現在は、施設に入所中。
娘はパニック障害!元気なのは私だけかい!と思いつつ、
さあ、認知症在宅介護の始まりです。
黒川 玲子